2025.01.10
妊婦と歯周病:健康な妊娠をサポートするために知っておくべきこと
愛知県津島市の歯医者 たかしま歯科
歯科医師 院長の高嶋俊裕です。
妊娠中は体の様々な変化が起き、口腔内の健康もその影響を受けます。特に、妊婦は歯周病にかかりやすくなることがあります。歯周病は口腔内の健康だけでなく、全身に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中の口腔ケアは非常に重要です。この記事では、妊婦と歯周病の関係について詳しく解説し、適切なケア方法を紹介します。
目次
- 妊娠中に歯周病が悪化しやすい理由
- 妊婦の歯周病が与える影響とリスク
- 妊娠中の歯周病の治療と予防方法
- 妊娠中の口腔ケアのポイント
- 妊娠中の安全な歯科治療
1. 妊娠中に歯周病が悪化しやすい理由
妊娠中は、ホルモンの変化により体の様々な部分に影響が出てきます。特に、妊娠中の女性はエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌量が増加します。これらのホルモンは、口腔内の血液循環を変化させ、歯肉が炎症を起こしやすくなります。妊娠性歯肉炎と呼ばれる状態で、これは歯周病の前段階にあたります。また、妊娠中のつわりや食欲の変化、ついつい甘いものを食べてしまうことから、歯磨きが不十分になることも歯垢が蓄積しやすくなる原因です。これが歯周組織にダメージを与え、歯周病につながります。
2. 妊婦の歯周病が与える影響とリスク
歯周病は歯周ポケットの中で細菌が形成され、歯の支持組織に炎症を引き起こします。妊婦が歯周病を放置すると、さまざまなリスクが発生します。その一つが、早産や低体重児出産のリスクの増加です。いくつかの研究では、重度の歯周病を持つ妊婦が早産や低体重児を産む確率が高いことが示されています。これは、歯周病菌やその産生する炎症物質が全身に巡り、胎児に悪影響を及ぼすと考えられています。したがって、妊娠中でも口腔の健康は全身の健康に直結していると認識することが重要です。
3. 妊娠中の歯周病の治療と予防方法
妊娠中でも、口腔内の健康を守るために歯周病の治療は可能です。通常のスケーリングやルートプレーニングなど、歯垢や歯石を取り除く治療は安全に行えます。特に安定期とされる妊娠中期(4ヶ月から6ヶ月)は、身体的に負担が少なく、歯科治療がしやすい時期とされています。歯周病の予防には、日々の口腔ケアが肝心です。食後はしっかりとブラッシングを行い、デンタルフロスや歯間ブラシを活用して歯間部を綺麗に保つことが推奨されます。また、無糖のガムやキシリトールが含まれる食品を取ることで、むし歯予防にもつながります。
4. 妊娠中の口腔ケアのポイント
妊娠中は、普段以上に口腔内の状態に気を配る必要があります。適切なブラッシングを行い、特に歯の根元や隙間を意識して磨くことが重要です。柔らかい歯ブラシを使用し、歯肉を傷つけないように優しく磨くことが大切です。また、つわりによって歯磨きが辛くなる場合は、フッ素入りの口腔内洗浄液を使用するのも一つの手です。フロスや歯間ブラシの使用も忘れずに行い、定期的に歯科医院でプロによるクリーニングを受けることで、口腔内の健康を維持することができます。食事もバランスを取りながら、ビタミンCやカルシウムを含む食品を積極的に摂取すると良いでしょう。
5. 妊娠中の安全な歯科治療
妊娠中の歯科治療に関して、心配になる妊婦の方も多いですが、安全に行える治療は多数存在します。痛みや腫れがある場合は、歯科医師に相談し、適切に対応することが肝心です。特に、緊急を要しない治療は、安定期に行うことを推奨されていますが、痛みが強い場合や感染が疑われる時は、少しでも早く対処することが重要です。局所麻酔は胎児に影響を与えないため、安心して使用できます。しかし、投薬に関しては、使用する薬剤が胎児に与える影響を考慮しなければなりませんので、医師や薬剤師とよく相談することをお勧めします。
まとめ
妊婦と歯周病の関係について詳しくご紹介しました。妊娠中の口腔内の健康は、単なる歯の問題ではなく、将来の出産や胎児の健康にも影響を及ぼす可能性があります。妊娠中のホルモン変化や日常生活の変化を踏まえ、しっかりとした口腔ケアを心がけることが大切です。定期的な歯科医院の受診と適切な治療で、健康な妊娠期をサポートしましょう。