2025.01.03
妊娠中の矯正治療について
愛知県津島市の歯医者 たかしま歯科
歯科医師 院長の高嶋俊裕です。
妊娠中は通常の生活と異なる制約が生じる時期であり、歯科治療に関しても心配や不安があることでしょう。今回は、妊娠中における矯正治療について詳しく解説していきます。妊娠中でも矯正治療は可能なのか、どのようなリスクがあるのか、具体的な治療法や費用についても触れていきます。
目次
- 妊娠中の矯正治療の可否
- 妊婦さんが受ける矯正治療のメリットとデメリット
- 妊娠特有のリスクと安全な治療
- 妊娠中に考慮すべき矯正治療の種類
- 妊婦さんに優しい治療計画と費用
1. 妊娠中の矯正治療の可否
妊娠中に矯正治療を行うこと自体は可能ですが、いくつかの注意点があります。妊娠初期(1〜3ヶ月)および後期(妊娠8〜9ヶ月)は、治療を開始するのは避けた方が良い時期とされます。妊娠初期は流産のリスクが高い時期であり、後期は身体への負担が大きくなるため、できれば安定期(妊娠4〜7ヶ月)に治療を開始することが望ましいとされています。もちろん、既に矯正治療を行っている場合は、妊娠を理由に治療を中断する必要はありませんが、担当の歯科医と相談しながら慎重に進めることが大切です。
妊娠中に考慮すべきポイントとして、X線撮影や麻酔を用いる処置を避ける必要があります。特にX線は赤ちゃんに影響を与える可能性があるため、撮影が必要な場合は防護を徹底するか、可能であれば避けるべきです。また、妊娠中は普段とは異なるホルモンバランスにより歯ぐきが敏感になりやすく、矯正装置の装着による不快感が増すこともあります。これらを踏まえ、妊婦さんの体調や状態に配慮した丁寧な診療が求められます。
2. 妊婦さんが受ける矯正治療のメリットとデメリット
妊娠中に矯正治療を受けるメリットとして、出産後の育児に向けて口内環境を整えておくことが挙げられます。出産後は育児で忙しくなりがちで、歯科通院もままならないことが多いです。そのため、妊娠中に歯並びを整えることは、その後の育児ライフを快適にする準備にもなります。
一方でデメリットとしては、妊娠に伴って運動神経の変動や身体的ストレスが増すため、矯正装置の装着がより不快に感じられることがあります。また、矯正治療中に薬を使用する必要が生じた場合、妊娠中は薬剤の選択に制限があるため、医師との相談が欠かせません。さらに、通常の矯正治療よりも慎重な計画と調整が必要で、通院回数が増える可能性も考慮すべきポイントです。
3. 妊娠特有のリスクと安全な治療
妊娠中は、ホルモンの影響で歯ぐきが腫れやすく、炎症を起こしやすくなります。このため矯正装置による摩擦や圧力が影響して、歯ぐきの腫れや出血が起こることがあります。こういった症状を軽減するためには、通常以上の口腔ケアが求められます。正しいブラッシングとフロスの使用、口内洗浄液の活用らによって細菌の増殖を防ぎましょう。
また、妊娠中は持病を持っている方が多いため、持病の有無とその管理方法は歯科医に必ず伝えましょう。治療が進むに連れて何か異変を感じた場合は、すぐに医師に相談してください。妊娠中でも行える治療法として、取り外しの可能な矯正装置の導入や、柔らかい素材の装置を使用することがあります。これらは装着時の不快感を軽減し、負担を少なくすることが期待できます。
4. 妊娠中に考慮すべき矯正治療の種類
妊娠中の患者さんには、できるだけ身体的負担の少ない治療法を選ぶことが重要です。たとえば、マウスピース型矯正(インビザラインなど)は取り外しが可能で、口内環境が敏感になりやすい妊娠中にも比較的安心して使用できる方法とされています。この方法は、歯ぐきへの負担が少なく清潔に保ちやすいため、妊婦さんにおすすめの治療法の一つです。
その他にも、歯の表面に金属や目立たない素材のブラケットを装着する「セラミック矯正」や、装置が見えにくい「舌側矯正」もありますが、これらは口内環境や患者さんの体調によっては効果や使用感が異なるため、慎重な選定が求められます。また、治療法によって費用や治療期間も異なるため、予算やライフスタイルに合った選択が大切です。
5. 妊婦さんに優しい治療計画と費用
妊娠中の矯正治療では、通常の治療よりも柔軟で無理のない計画を組むことが大切です。治療期間を急がず、妊娠期間中は定期的な診察と丁寧なフォローアップを行うことで、不安を軽減しながら進めます。妊娠中の体調変化に合わせて、治療のスケジュールを調整することも可能です。
費用に関しては、選ぶ矯正装置の種類や治療期間によって異なります。一般的にマウスピース矯正は50万〜100万円、セラミック矯正は80万〜150万円が相場とされています。妊娠中の特別な対応や頻繁な調整が必要な場合、追加費用が発生することもありますので、契約前に詳しく確認しておくことをおすすめします。
まとめ
妊娠中の矯正治療は、体調や環境に配慮しながら慎重に進めることが大切です。妊娠期間中は、安定期に入った段階で矯正治療を検討することが良いでしょう。そして、常に信頼できる歯科医と相談しながら、身体に合った最適な治療法を選ぶことが、ストレスの少ない矯正治療への道です。妊娠中であっても、適切な計画と配慮があれば、美しい歯並びを手に入れることができます。